“日本の常識は海外の非常識”という言葉がある。今回のプロジェクトでも、想像を絶する人々との出会いがあった。一番印象深いのは、3日目に遭遇した、道端でバケツやペットボトルなどを叩いていた男。おそらくプロのパーカッショニストではない。しかし彼が叩き出す正確無比なリズムに興味を持った小浦が、セッションを申し入れる。以前ならきっと近寄ることもできなかっただろう。これも、タイにおける成長の表れだ。最初に始まったのはタイvs日本のパーカッションバトル。しかし、一息ついた時に出た「キミはどこから来たんだ?」という質問に「ジャパン」と小浦が答えた瞬間、彼は豹変した。「トーキョー?!」「いや、大阪」「トーキョー?!!」「いや、だから大阪」「トーーキョーーー?!!」…狂ったようにバケツやボウルなどを叩き出す彼。スティックが折れてもお構いなし。最後にお互いハグをして、拳を交わして終了。結局、あそこまで“トーキョー”と興奮した理由は分からずじまいだった。この日の夜、セッションでドラムを叩くことが確定していたが、手には無数のマメが。果たして、このアクシデントを克服できるのか?…それよりも、演奏中にヒートアップした男に自分も打楽器にされてしまうのかどうかが小浦は心配だったという。