4月21日のライブ会場となるのは「JAM」。マレーシア出身のマスターが経営しているライブハウスで、メニューの中に「日本のカツカレー」なるものがある。食べてみると「なるほど、その名の通り!」と思わず唸るくらいのクオリティ。タイに長期滞在をしても、これさえあれば日本のカレーライスが恋しくなることはなさそうだ。食事だけでなく、普段行われているライブやイベントも本物志向で、マスターが音楽ツウであることは容易に分かる。
そのマスターが、ライブを終了したRaftに言った。「次、タイに来る時はここを拠点にしてもいいぞ」。ライブハウスの2階に宿泊できるスペースがあり、それを「タダで使ってもいい」と言うのである。最高の賛辞だ。対番したタイのバンド「Fits」のメンバーも惜しみない拍手をしていた。Raftのメンバーも口を揃えて「とにかく楽しかった」。まず藤井の言葉を紹介しよう。
「観客の食い入るような目に昂ぶりました。特に印象深いのがVahnとのデュオです。言葉は通じないのに、いざ曲が始まると、音で会話ができました。お互いに目配せをしながら掛け合いを積み重ね、想像以上の感動がありましたね。音楽に国境はないことを改めて感じることができました。この楽しさは癖になります。中毒性がありますね」
続いて小浦。
「今日は純粋に楽しくて、今後の基準ができました。この感じを毎回出さないといけないし、超えていかないとけいないですね。自分自身、本格的にソロで活動し始めた後に迎えたライブで、前回と比較してドラムとの距離感が変わっていることにも気づきました。Raftは楽しむことを重視できるところ。『ここにいたい』と思える場所です」
もちろん、Raft一本に活動を絞った藤岡も大きな手応えを感じていた。それは、打ち上げで見せてくれた彼の笑顔を見れば、語らずとも一目瞭然。次は5月5日、場所はホームグラウンドになりつつあるPLAY YARD。「終了後、思わず泣いてしまうようなライブにしたいです」と藤岡。満開の桜を咲かせる準備は整った。