#016
処女航海、準備完了。

3 Posted by - 2015年7月2日 - REPORT

これからは、Natを含む“第一期Raft”の軌跡をお伝えしよう。まず挙げておきたいトピックスは、5月上旬にNatを日本に招き、マキシシングルのレコーディングとデビューライブに向けたスタジオ練習を行ったことだ。

レコーディングを実施したのは5月5日。10:00、奈良県某所のスタジオに一同が集まり、さっそくギター、ベース、ドラムスの収録に入った。自身の音楽活動で多忙な中、しっかり練習を積んできた藤岡、藤田、小浦。14:00にはマキシシングルに収録する2曲の録音を完了した。いかに濃密かつ刺激的な時間であったかは、小浦の「これまでとはまた違う音楽の可能性を発見できた気がする」という言葉が物語っている。

次は、Natのヴォーカル収録だ。密閉された空間で何時間も歌い続けるのは、想像以上に体力と気力を消耗する。疲労と戦いながら歌い続けるNatを、メンバーやエンジニアも英語とタイ語で励まし続けた。エンジニアの「OK!」が出た時、外はすでに真っ暗だった。その完成度の高さは、藤岡の「ヤバ過ぎます」という一言に集約されている。

翌日、大阪市内のスタジオでライブに向けた練習が始まった。4人全員で曲を練習するのは初めて。最初は手探り状態から始まったが、発せられる音から各人の特性をすぐに把握し、忌憚のない意見をぶつけ合い、曲を熟成させていく。中でも印象的だったのは、作曲とアレンジを全て担当した藤田のイニシアティブの取り方である。ヴォーカル、ベース、ドラムス、全ての音を瞬時に分析し、潜在する数々のポテンシャルを引き出すアドバイスがとにかく的確だった。それに呼応した各人から生まれる音が、曲をさらなる高みに押し上げていく。日本語、タイ語、英語…様々な言葉を飛び交わせながらの練習は5時間以上にも及んだ。

スタジオを出た彼らの表情は、いい意味で自信と緊張に満ち溢れていた。“やることはやった。準備は万端だ”と言わんばかりに。そこから18日後の5月24日、バンコク市内のPLAY YARDに、Raftのメンバーは高揚感を抑えきれない様子で登場した。さあ、処女航海の始まりである。